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【SideM】御手洗翔太は大人になる【モバエム】

 

 

モバゲー版アイドルマスターSideM(モバエム)内イベント『キミを照らす星』。モバエムの更新の停止が告知された中でのこのイベントストーリーを踏まえて、御手洗翔太の歩みについて1つまとめておくべきだと思い、この文章を書いています。

あくまで個人的な感想と見解ばっかりですがご容赦ください。

 

 

 

このストーリーで特に印象的だったことは、翔太がこの「演技のお仕事」の中で「冬馬に負けたくない」という意思を示したことです。

特に今回は、翔太の演じる青海是乃(おうみぜの)は、美術部の天才ということで、翔太が得意とする身体を動かす見せ場も少ない。そんな中でも、翔太は冬馬へのライバル心を見せていました。

翔太にとって得意分野では無いこのお仕事で、冬馬に対して対抗心を見せたこと。これは、ここまでの道のりがあったからこそ芽生えた感情であるように思うのです。

 

 

 

  • 「やりたいこと」の広がり

翔太は身体を動かす分野、特にダンスについては誰にも負けない、という自負があり、他のアイドルに対してライバル心を見せることもありました。

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(Twilight Railroad Live ストーリー10より)

(得意のバク転を漣にあっさりキメられて悔しがる翔太)

 

その一方で、面倒に感じた事柄にはやる気を出すのも一苦労。

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(源平瞬星録〜搦め手の戦法〜 ストーリー04より)

(源平瞬星録では冬馬と北斗の尽力もあり、負ける役でも主役を食ってしまうぐらいの演技をしようということで最後までやり切ることができました)

このように、やりたいことにはとことん本気を出すけれど、そうでないことは面倒くさがったりといったマイペースさが翔太にはありました。(ちなみにレイルロードライブで翔太がやる気を見せた時にも北斗に珍しがられている)

 

翔太はそんな自分のことを『THE DREAM TIME CIRCUS』の中で、面倒くさがりの自分が熱心に空中ブランコの練習をしていることについて、こんな風に話していました。

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(THE DREAM TIME CIRCUS ストーリー06より)

この時点で、翔太は自分のやる気にムラがあることを自覚していました。(それでもプロデューサーが好きにやらせているのは、翔太はなんだかんだ真面目に仕事に取り組んでいるからだろうなと思います)

 

しかし、その後の劇中劇イベント、『Moonlit Night Encounter』において、翔太は自らやりたいと言い出すほどに、自分が悪役を演じることにやる気を見せていました。その理由についてはこんな風に話しています。

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(Moonlit Night Encounter ストーリー01より)

それは非常にシンプルで、他のアイドル達の悪役の演技を魅力的に感じてきたから。

ここでは『源平瞬星録』の時とは異なり、難しい内容ながらもそのやる気が失われることもありませんでした。

前までは翔太が得意だと思うこと、やって楽しいことだけにやる気を見せていたのが、色んなアイドルの姿を見て、得意でなくても、未知のことでもやってみたいと思うようになった。やる気のムラが無くなっていき、やりたいと思うことの幅がどんどん広がっていたんです。

 

 

  • 「やってもいい」と感じること

それともう1つ、翔太が「やりたい」と思うことに加えて大切だったことがありました。それは、翔太がやりたいことを「やってもいい」と思うことです。

翔太は、非常に他者の機微に敏感です。そのおかげで大御所俳優や監督と上手く話したり仲良くなったりということも得意なわけですが、相手が不快に感じることを避けようとしたり、何か不快にさせてしまった時にそのことを非常に気にしたりすることもありました。

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(紅葉舞う秋の妖魔 ストーリー10より)

(東雲さんにうっかりあんこを見せてしまい、知らなかったのだから気にする必要は無いと言われるもひどく気にする翔太)

 

そんな翔太は、周りから望まれないと感じた場合、やりたいことでもそれをやろうとするまでにはならないでしょう。今回の『キミほし』の中でも「キャラクターらしさを失う演技をするべきでは無い」と言及されるシーンがありました。

つまり、翔太がやりたいと思うことを実行するには、周りがそれをやっても良いことだと後押しすることが必要なわけです。

 

それに関して、1つ印象的なものがあります。

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2021年の、翔太の誕生日の一幕です。

 

翔太の個性を表すものの1つとして、いわゆる「弟属性」というものがあります。アイドルとしてのキャッチフレーズに「国民的弟」が使われたり、ファンのことを「おにーさん、おねーさん」と呼んだりと、翔太にとって「カワイイ弟」というキャラクターはアイドルとしての武器にもなっています。

しかし、この「カワイイ弟」という武器には限界があります。その最たる点は、翔太自身が大人になること。いくらユニットの中では末っ子でも、これから翔太より年下のファンも増えていくでしょう。だから、ずっとみんなの弟としてアイドルをやっていくことは現実的ではない。

でも、そんな翔太にとって1つの大きなアイデンティティがいずれ失われてしまうことにはどうしたって不安が生じるものでしょう。

その漠然とした不安を、この誕生日の一幕は何てことないものとして2人が受け取ってくれたように感じます。

翔太が大人になって、今とは違うアイドルとしての在り方になっても、それを真っ直ぐ受け止めてくれている。大人になっても変わらず、むしろ今以上に対等な存在として向き合うことができる。

 

この後のイベントに、『315プロダクションきら☆ひめ特別ライブ』がありました。小さな女の子向け雑誌のPRライブで、お客さんのほとんどが翔太より年下の子どもたちというお仕事です。

このお仕事が発表された時、私は少しばかり不安を覚えました。翔太より年下の子たちがメインの客層ということは、どうしたって翔太は「お兄ちゃん」になります。今までみんなの弟としてやって来ていたのに大丈夫だろうか…という心配をしていたのですが、いざイベントが始まってみたらそんな心配どこ吹く風。むしろそんなお仕事を楽しみにしていて、いつも通りの、いつも以上のライブをしようと気合い十分な様子が見られました。

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(315プロダクション!きら☆ひめ特別ライブ ストーリー07より)

 

ここで、「カワイイ弟」にこだわらない、翔太がやりたいと思う色んなアイドルとしての形や魅力を見せていくこと、それが翔太自身の気持ちとしても可能になっていることを感じました。

 

そんな変化を象徴するような言葉が『キミほし』の中でも見られました。

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(キミを照らす星 ストーリー17より)

 

「国民的弟」から「国民的彼氏」になる。そんな変化を前向きに考えることができている。その事はとても大切で、すごいことだと思います。

ですが、実際にそれ程みんなに認められるカッコ良い男の子になろうとする時、とても強いライバルがいるのです。それが今回、恋のライバルを演じることになった冬馬でした。

 

 

  • 「憧れ」の真正面に立つ

翔太がアイドルをやると決めた最も大きな理由は、冬馬への憧れです。

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(雑誌通常号 Jupiter 本気のキモチ 後編より)

 

しかし憧れと言っても、翔太が冬馬のようになろうとしたり、逆にバチバチと対抗心を燃やしたり、といったことはほとんど無かったように思います。

翔太にとって冬馬は、「同じユニットの大切な仲間」という位置づけ以外だと、「面白い人」であり、「尊敬する相手」という側面が強かったのでしょう。

冬馬くんは、からかいがいあるしね。あ、でも、フツーに尊敬もしてるよ。

(御手洗翔太ボイス 同じユニットのメンバーについて より)

 

これまで翔太が冬馬に強く対抗心を見せることが無かったのは、シンプルに“機会が無かった”からであるように思います。

ファンへのアプローチの仕方も違えば、得意分野も異なる。それ故に、ステージに立つ場面においてもユニットとしてみんなを盛り上げる、という側面が強く、加えて、劇中劇でも真っ向から対立するような役どころになることもありませんでした。だから、仲間としての感情以外のものが生まれる機会も無かったのではないかと思います。

 

けれど今回、少女漫画の恋のライバルという役になり、当の翔太はカワイイ弟キャラでは無い、カッコ良い男の子として、「国民的彼氏」になる程の意気込みでいました。

対する冬馬は、数多のPもザワつかせた天下の壁ドンを繰り出し、カッコ良い男の子というイメージを背負うには十分過ぎるほどの相手でした。

 

先述した中でもあったように、翔太は元々自分の得意分野に関してはかなり負けず嫌いになる性格です。

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(Play Activity☆Joy Ch@lle Live! 雑誌 負けていられない!より)

(にゃこさんの可愛さでメロメロになりつつ、自分の魅力でもお客さんを夢中にさせると意気込む翔太)

 

だから、翔太が自分をカッコ良い男の子として魅せようとした時に、冬馬のような相手に対抗心を持つのは考えてみれば当然のことなんですよね。

 

 

重要なのは、翔太が冬馬の真正面に立って対抗心を燃やせるほど、精神的にも、周囲からのイメージも成長してきたということ。

大人になっていくということは、それまでできなかった色んなことにも挑戦できるということ。ただそれと同時に手放すものも多くあります。それでも、決して避けることはできない大人になる事実を、翔太自身も、周りの人々もそのポジティブな方向で受け入れて、それが繋がっていっていることが、この上なく幸せなことだと感じるのです。

 

 

 

 

ここから先、どのように彼らが歩んで行くのか私たちが見守ることはできないのでしょう。

ただ、もしかしたらその先に本当の意味で歳を重ねた彼らがいるかもしれないなぁということを考えてもいます。それはどうしたって、このアイマスの世界である以上、私たちがそれに触れている間は見られないものなので。おじさんになってもJupiterやってるんでしょうか。もしかしたら、アイドルではない未来を選んでいることもあるかもしれない。私はそれも面白いなぁと思っています。

 

そんなことを考えられるほど、彼らの「人生」を見せてくれたモバエム。正直に言うと、楽しかったことと同じぐらい悔しかったり苦しかったりすることもありました。今は寂しさと一緒に、吹っ切れたような気持ちもあります。少なくとも、これからのSideMも自分なりに楽しんでいきたいとそう思えているので、自分自身の気持ちとしては今はこれで良いのかなと思います。また色んな場所で、色んなアイドルの姿が見られたら良いな。

 

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ここから始まったアイドルマスターSideMが、これからも末永く広がって、繋がっていきますように。